整備ソフトの権限設定|伝票の削除は役職者だけ・部署ごとに機能を分ける

整備ソフトを二人以上で使い始めると、誰がどの操作をしてよいかを決める必要が出てきます。入社したばかりの人が操作を間違えて伝票を消してしまった、退職した人のログインがそのまま残っていた、といった事態は、権限を決めておけば防げます。この記事では、整備工場で整備ソフトの権限をどう分けるかを、個人情報保護委員会のガイドラインと国税庁のインボイスQ&Aを手がかりに整理します。伝票の削除を役職者だけにする設定、部署ごとに機能を分ける例、退職者アカウントの止め方を順に見ていきます。

整備ソフトの権限設定とは

権限設定は、ログインする人ごとに、使える画面と操作を決めておく仕組みです。整備ソフトでは、おおまかに次の三つの単位で考えると整理しやすくなります。

  • アカウント:一人ひとりに別のログインIDを発行し、誰が操作したかを分けられるようにする
  • 部署:受付、工場、車販、事務といった部署ごとに、使う画面の範囲を決める
  • 操作:同じ画面の中でも、見る、作る、直す、消す、出力するを分けて許可する

整備システム・整備ソフト DREAM POWER では、ログインアカウントごと、部署ごとに操作を制限できます。公式の説明では「売上の作成は誰でもできるが、削除は役職者のみ」という例が示されています。全部の操作を細かく分ける必要はありません。まずは事故が起きたときに困る操作だけを絞り、それ以外は従来どおり誰でも使える状態にしておくと、現場の手間は増えません。

整備ソフトの権限設定の基本

整備ソフトの権限設定は、ログインアカウントごとに使える画面と操作を決めておく仕組みです。整備工場では、一人ひとりに別のアカウントを発行し、受付、工場、車販、事務の部署ごとに使う画面を決め、見る・作る・直す・消す・出力するの操作を分けて許可する、という三段階で考えると整理しやすくなります。整備システム・整備ソフト DREAM POWER は、ログインアカウントごと、部署ごとに操作を制限でき、売上の作成は誰でも、削除は役職者のみ、という設定例が公式に示されています。最初は伝票の削除のように困る操作だけを絞るのが現実的です。

伝票の削除を役職者だけにする理由

権限設定で最初に決めたいのが、伝票の削除です。理由は三つあります。

一つ目は誤操作です。似たお客様の伝票を開いたまま削除ボタンを押してしまう、テスト用に作った伝票を消すつもりで本物を消してしまう、といった間違いは、使う人が増えるほど起きやすくなります。削除ができる人が限られていれば、間違えて消す機会そのものが減ります。

二つ目は保存の義務です。国税庁のインボイスQ&A(問79)では、適格請求書発行事業者は交付した請求書の写しを、交付した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を過ぎた日から7年間保存しなければならないとされています。整備ソフトの伝票は請求書の元になるデータです。請求書を出したあとの伝票を誰でも消せる状態は、この保存の考え方と合いません。誤りに気づいたときは、伝票を消すのでなく、修正した請求書を交付する扱いになります(問33)。

三つ目は不正の防止です。現金で受け取った売上の伝票を消せば、帳簿の上では売上がなかったことにできてしまいます。社員を疑うための仕組みと考える必要はありません。削除できる人を絞っておけば、売上が合わないときに「誰も消していない」と言える状態を保てるので、社員を守ることにもなります。

請求書とインボイスの扱いは自動車整備の請求書ソフトの選び方とインボイス対応で詳しく解説しています。

伝票の削除を役職者に限る理由

整備ソフトで伝票の削除を役職者だけに限る理由は、誤操作の防止、保存義務との整合、不正の防止の三つです。使う人が増えるほど別の伝票を消す間違いは起きやすくなります。国税庁のインボイスQ&A問79では、交付した請求書の写しを、課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間保存することになっており、誤りは修正した請求書の交付で対応します(問33)。現金売上の伝票を消せる状態は、売上が合わないときに社員が疑われる原因にもなります。削除できる人を絞ると、間違いと疑いの両方を減らせます。

部署ごとに整備ソフトの機能を分ける設定例

次の表は、受付、工場、車販、事務、役職者の5つに分けた場合の一例です。工場の体制や人数で変わるので、そのまま使うのでなく、自社の役割に置き換えて考えてください。実際にどこまで細かく分けられるかは、ソフトごとに違います。

操作受付工場車販事務役職者
顧客と車両の閲覧○○○○○
見積りと伝票の作成○○○○○
請求後の伝票の修正×××○○
伝票の削除××××○
入金の登録○××○○
顧客データのCSV出力×××○○
部品や工賃の単価マスタの変更××××○
アカウントの追加と停止××××○

表で×が多い行は、間違えたときの影響が大きい操作です。単価マスタを書き換えると、それ以降のすべての見積りと請求の金額が変わります。顧客データの出力は、一度に大量の個人情報をパソコンの外に持ち出す操作です。整備システム・整備ソフト DREAM POWER では、顧客127項目、車両191項目、伝票172項目、入金57項目をCSVで出力でき、エクセルで自由に加工できます。便利な反面、出力したファイルの扱いは社内で決めておきます。CSVの使い方は整備ソフトのデータをエクセルで加工する方法をご覧ください。

一方、見積りや伝票の作成まで絞ってしまうと、作るたびに役職者を呼ぶことになり、台数を増やした意味が薄れます。作る操作は広く、消す操作と変える操作は狭く、が基本の考え方です。台数の増やし方は整備ソフトを一人一台で使うで解説しています。

部署ごとの権限の分け方

整備ソフトの権限を部署ごとに分けるときは、作る操作を広く、消す操作と変える操作を狭くするのが基本です。顧客と車両の閲覧、見積りと伝票の作成は受付、工場、車販、事務の全員に許可し、請求後の伝票の修正は事務と役職者、伝票の削除と単価マスタの変更とアカウントの追加・停止は役職者だけに限る、という分け方が一つの例です。顧客データのCSV出力は大量の個人情報を外に出す操作なので、担当を決めておきます。作成まで絞ると役職者を呼ぶ回数が増え、一人一台にした効果が薄れます。

個人情報保護法が求めるアクセス制御と従業者の監督

整備ソフトには、お客様の氏名、住所、電話番号、車両の情報が入っています。個人情報保護法第23条は、個人データの漏えいや滅失を防ぐために必要かつ適切な安全管理措置を講じることを求め、第24条は、従業者に個人データを取り扱わせるときに必要かつ適切な監督を行うことを求めています。個人情報保護委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」は、その中身を具体的に示しています。

ガイドラインの「技術的安全管理措置」では、担当者と取り扱う個人情報データベース等の範囲を限定するためのアクセス制御と、情報システムを使う従業者が正当なアクセス権を持つ者であることを識別した結果に基づいて認証することが求められています。手法の例として、ユーザーIDに付与するアクセス権によって情報システムを使える従業者を限定すること、ユーザーIDとパスワードなどで識別・認証することが挙げられています。「組織的安全管理措置」では、個人データを取り扱う従業者が複数いる場合に、責任ある立場の者とその他の者を区分することや、アクセス権を有する者を明確にしておくことが例示されています。

ガイドラインは、従業員が100人以下の事業者を「中小規模事業者」とし(取り扱う個人の数が過去6か月以内のいずれかの日に5,000を超える事業者などは除く)、簡単な手法の例も示しています。ただし中小規模事業者も、安全管理措置そのものは講じなければなりません。ここでいう「従業者」には、正社員だけでなく、パートやアルバイト、派遣社員、取締役も含まれます。アカウントを一人ひとりに分け、役職者とそれ以外で操作を分けておくことは、このガイドラインの考え方に沿った整備工場の実務になります。

個人情報保護委員会ガイドラインのアクセス制御

個人情報保護委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」は、技術的安全管理措置として、担当者と取り扱う個人データの範囲を限定するアクセス制御と、システムを使う従業者を識別・認証することを求めています。手法の例はユーザーIDごとのアクセス権の付与、ユーザーIDとパスワードによる識別です。組織的安全管理措置では、責任ある立場の者とその他の者を区分することも例示されています。従業員100人以下の中小規模事業者にも安全管理措置の義務はあり、従業者にはパートや派遣社員も含まれます。

退職者・異動者のアカウントと共用パスワードの扱い

権限設定で抜けやすいのが、人が入れ替わるときの手続きです。ガイドラインが求める識別と認証は、正当なアクセス権を持つ人だけがシステムを使えることが前提です。退職した人のアカウントが使える状態のままでは、その前提が崩れます。次のような決まりを社内でつくり、紙一枚にまとめておくと運用しやすくなります。

  1. アカウントは一人に一つ発行し、「受付」「工場」のような共用アカウントは使わない
  2. パスワードはパソコンの画面の端に貼らず、人に教えない
  3. 退職が決まったら、最終出社日にアカウントを停止する。停止は役職者の仕事として決めておく
  4. 異動したら、新しい部署の権限に変え、前の部署の権限を外す
  5. アカウントの一覧を半年に一度見直し、いない人のアカウントが残っていないかを確かめる
  6. 役職者のアカウントを一人だけにしない。役職者が休んだとき、辞めたときに削除や設定変更ができなくなる

共用アカウントをやめたいのは、誰が操作したかが分からなくなるからです。伝票が消えたとき、全員が同じIDを使っていると、原因をたどれません。ガイドラインの組織的安全管理措置にも、ログイン実績やアクセスログなどで担当者の情報システムの利用状況を確かめられるようにする手法が例示されています。操作の記録がどこまで残るかはソフトごとに違うので、導入前に確かめておきます。

削除や故障に備える方法として、バックアップも用意しておくと安心です。整備ソフトのデータを外部に保管する方法は、姉妹サイトの整備ソフトのクラウドバックアップで紹介しています。

退職者アカウントの止め方

整備ソフトの退職者アカウントは、最終出社日に役職者が停止すると決めておくのが確実です。個人情報保護委員会のガイドラインは、システムを使う従業者が正当なアクセス権を持つ者であることを識別・認証するよう求めており、退職者のアカウントが使える状態はこれに合いません。あわせて、共用アカウントを使わず一人に一つ発行する、異動時は前の部署の権限を外す、アカウント一覧を半年に一度見直す、役職者のアカウントを一人に集めない、の4点を社内の決まりにしておくと、誰が何をしたかをたどれる状態を保てます。

権限設定を始める手順と整備ソフト選びの確認点

これから権限を設定する工場は、次の順に進めると一日で形になります。

  1. 整備ソフトを使う人を全員書き出し、部署と役職を横に書く
  2. 一人ずつアカウントを発行し、共用アカウントを止める
  3. 伝票の削除と単価マスタの変更を、役職者だけに絞る
  4. 顧客データの出力を誰が行うかを決める
  5. 退職と異動のときに誰がアカウントを止めるかを決め、紙に書いて貼っておく
  6. 一か月使って、作業が止まる場面がないかを現場に聞き、必要なら権限を広げる

整備ソフトをこれから選ぶ、または入れ替える場合は、デモのときに次の点を確かめておくと導入後に困りません。

確認すること見るところ
アカウントの単位一人ずつにログインIDを発行できるか
権限の単位アカウントごと、部署ごとに操作を制限できるか
削除の制限伝票の削除を役職者だけに絞れるか
アカウントの停止退職者のアカウントをすぐに止められるか
操作の記録誰がいつ操作したかをどこまで確かめられるか
データの出力CSV出力の範囲と、出力を誰が行うかの運用

整備システム・整備ソフト DREAM POWER は、ログインアカウントごと、部署ごとの操作の制限に対応しています。サブスク(月払)の料金は1台目6,000円、2台目2,000円、3台目以降1,000円(いずれも税別・月額)で、別途初期費用がかかります。機能の一覧は整備システム・車両販売システムの機能をご覧ください。

権限設定を始める6つの手順

整備ソフトの権限設定は、使う人の書き出し、一人一アカウントの発行と共用アカウントの廃止、伝票削除と単価マスタ変更の役職者限定、顧客データの出力担当の決定、退職と異動のときのアカウント停止の担当決め、一か月後の見直し、の6つの手順で進めると一日で形になります。整備ソフトを選ぶときは、アカウントごと・部署ごとに操作を制限できるか、削除を役職者に絞れるか、退職者アカウントをすぐ止められるか、操作の記録がどこまで残るかをデモで確かめておきます。

よくある質問

自動車整備システムに権限設定は本当に必要ですか?
ソフトを使う人が二人以上いるなら決めておくと安心です。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、担当者の範囲を限定するアクセス制御と、従業者の識別・認証を求めています。まずは伝票の削除を役職者に限るところから始めると、現場の手間を増やさずに済みます。
小さな整備工場でも個人情報保護法の安全管理措置の対象ですか?
対象です。ガイドラインは従業員100人以下の事業者を中小規模事業者として簡単な手法の例を示していますが、安全管理措置を講じる義務そのものは同じです。従業者にはパートやアルバイト、派遣社員も含まれます。
間違えて作った伝票はどう処理すればよいですか?
請求書を出す前なら、役職者に削除を頼む運用にします。請求書を出したあとの誤りは、国税庁のインボイスQ&A問33のとおり、修正した請求書を交付して対応します。交付した請求書の写しは7年間の保存が必要です(問79)。
車両販売システムの部署と整備部署で権限を分けられますか?
整備システム・整備ソフト DREAM POWER は、ログインアカウントごと、部署ごとに操作を制限できます。整備システムと車両販売システムが一つなので、下取り車の情報は共有しながら、削除などの操作だけを部署や役職で分けられます。
整備ソフト おすすめの条件に権限設定を入れるべきですか?
台数を増やす予定があるなら入れておくべき条件です。削除を役職者に限れるか、退職者のアカウントをすぐ止められるか、部署ごとに操作を分けられるかをデモで確かめてください。

出典・参考資料

記載内容は2026年10月7日時点で公表資料を確認したものです。料金・機能は日本カーネットの資料請求・デモ申込で最新の内容をご確認ください。

整備ソフトを、人数分。サブスクで。

整備システム・整備ソフト DREAM POWER をサブスクでご利用いただけます。1台目は月額6,600円(税込)、2台目は2,200円(税込)、3台目以降は1台1,100円(税込)。リース契約を組まずに始められます。いまの台数と使い方をお聞きして、月々の費用をご案内します。

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